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2011年5月21日 (土)

光の橋~2008.10.14の記事~

ハンガリーのブダペストを旅した時のことです。

「夜景が世界一美しい」と聞いていたので、昼間の観光を楽しみながらも、陽が落ちるのを待ち焦がれていました。レストランでの夕食後、ドキドキしながら車に乗り込み「くさり橋」と呼ばれる橋の前に来た時、私は思わず「あっ…!」と声を上げてしまいました。それは一瞬、現実の光景かと目を疑うような輝き…昼間も見た橋なのに、同じものとはとても思えませんでした。光輝くその橋のあまりの目映さに只々ウットリと魅入りました。その名の通り、電球の連なりが鎖のネックレスのように橋を彩り、輝いているのです。周りにその光を妨げるようなネオン等何もなく(今もそうなのでしょうか)橋は歴史の重みを纏ったような夜の中、静かに神々しく輝いていました。この目の前の光景よりも美しい夜景が果たしてあるだろうか…心打たれるその静かな輝きに、まだ夢の中にいるように感じながらそんなことを思いました。

くさり橋の近くに住んでいる人々は、この現実とは思えない程美しい夜景を日常のものとしているのです。この光の橋を映す瞳は我々とは違う深みを帯び、その潜在的美意識は比べ物にならない程高められているに違いありません。

只綺麗なだけの夜景なら沢山ありますが、くさり橋の美しさは、外観の光だけではない、厳かな歴史の積み重ねとでも言うべき、内面からの輝きが素晴らしく、10年以上経った今でも、私の心を捉えて離さないのです。

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