« 高瀬舟(1)~2008.10.18の記事~ | トップページ | ランブラス通りにて(1)~2008.10.25の記事~ »

2011年5月21日 (土)

高瀬舟(2)~2008.10.20の記事~

私はビックリして、何も言うことが出来ませんでした。しばらくして落ち着いた祖母は「何て良い話なんだろう。心が洗われたよ」と言いました。昔も読んだことはあったが、こんな風に心に染み入るように感じたのは初めてだと…実は私もそうでした。何十回となく読んでいる筈なのに、この時程この短編に心打たれたことはなかったのです。きっと声に出して読んだせいなのでしょう。そして、聞いてくれている人がいた為に、行間を感じ、セリフの息遣いも意識し、一人で黙読している時よりも感覚をフル回転させて読んでいたのだと思います。高瀬舟の上で交わされる静かな核心的な言葉、互いを思い合う兄弟、そして「“足る”ことを知る」ということ…全てが、あまりにも私の感覚から遠く、潔い美しさでした。家族の為に自ら死を選ぶことが出来るでしょうか。今持っているもので満足し、何も望まずに幸せを感じることなど出来るでしょうか。そのような「悟りの境地」とでも言うべき清らかさを、目の前で自然体で見せてくれている喜助の存在を、私もその場で、奇跡を見るような思いで共に体感したのでした。

|

« 高瀬舟(1)~2008.10.18の記事~ | トップページ | ランブラス通りにて(1)~2008.10.25の記事~ »

」カテゴリの記事