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2011年7月 1日 (金)

瞳の奥に(3)~2008.11.7の記事~

離れて見ていた時にはあまり目立たなかったのですが、彼女の顔も手も、そして身につけているエプロンも薄汚れていました。眼差しは虚ろで、それでいて悲しみを湛え、どのような日常なのかを想像させました。私は花を買おうと近づき、間近でその瞳を見たのです。深い悲しみの中に潜む、彼女のプライドとしか言いようのないものを…同情から、必要のない花を買うことなど許されない…強くそれを感じました。私に何が出来たでしょうか。私に出来ることといえば、彼女のプライドを傷つけないよう、速やかに立ち去ることだけでした。振り返った時、その姿は「マッチ売りの少女」のように見えました。

同情からの言動が相手を少しでも慰め、少しでも助けになるのであれば、それは良いことなのかもしれません。でもそこに、ほんの僅かでも相手を下に見るような感情があった時、同情は相手を傷つけ、屈辱を与える剣となるのです。私の彼女に対する「可哀想に…お気の毒に…」という思いの中に、彼女を傷つける感情があったのかもしれません。同情とは何なのか、あの時どうすれば良かったのか…彼女のことを思い出す度、今でも私の胸は苦しくなるのです。

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