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2012年5月 6日 (日)

雪とピエロ(1)

照明が落とされ、その暗闇に目が慣れた頃、舞台中央にほんのりと当てられたスポットライト…真っ白な衣装を身につけ、つま先が上を向いて尖った靴を履いた悲しい表情を浮かべたピエロが音もなく現れました。脇腹には長い梯子を抱えています。

ピエロの仕草で、雪が散らつく寒い日であることがわかります。恋しい誰かを思い、それが一方的な思いであることを感じさせるような切ないマイムの後、傍らに置いていた梯子を何もない舞台中央に立てかけました。

長い梯子にスルスルと昇ると、その先端に座り、膝に頬杖をついて物思いにふけるピエロ…観客はその世界観に浸りたいと思いながらも、何の支えもない梯子が倒れはしないかと、ハラハラしながら見守っています。当のピエロは命綱なしにしては高く危険なその空間で、相変わらず切ない表情で愛しい人を思い、溜め息をついています。

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