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2012年5月

2012年5月29日 (火)

エスカルゴバター(1)

初めてエスカルゴを食べたのは、20歳の頃でした。殻付きのものではなく、調理されて器に盛られたものが、薄切りのバゲットと共にお皿に並べられていました。ガーリックとパセリの風味と相まって、とても美味しかったことを覚えています。日本ではなかなか食べる機会がありませんでしたが、フランスへ行く度に、メニューにあれば必ず注文して食べていました。パリ独特の雰囲気が隠し味となったのでしょう。一際美味しく感じました。

新婚旅行で何度目かのフランスへ向かったのは、初秋の頃だったでしょうか。パリに着いたのは夕方、ホテルにチェックインした時はもう夜も更けていました。パリは初めてだった主人が、ノートルダム寺院を観に行きたいと言うので、外観だけでも…と出掛けました。夜のノートルダムは、明るい陽射しの下での趣とは異なる、神秘的な美しさを漂わせていました。細やかな彫刻…聖人の像…全てが静かに息づいているようでした。

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2012年5月 8日 (火)

雪とピエロ(2)

梯子はしっかりと床に固定されているかのように、ピエロを受け止めています。梯子を前からも後ろからも上り下りするその動きが、ピエロの揺れ動く心情と完全にシンクロしていることが感じられ、思わず溜め息をついてしまいます。

後ろ髪を引かれるようにピエロが舞台を去り、その後の全ての出し物が終わっても尚、私の心はその悲しみで埋め尽くされたままでした。名前は覚えていませんが、確かロシアのサーカス団です。シルク・ ドゥ・ソレイユと同時期に来日公演がありました。シルク・ドゥ・ソレイユが大好きで、公演には欠かさず足を運んでいましたが、それよりも、名前も忘れてしまったサーカスのあのピエロのイメージが鮮明に残っていて、つい数日前、まるで昨日のことのように夢に見ました。何年も前のことですので、私の中で美化されている部分もあるかと思いますが、記憶のままに書かせて頂きました。

半年以上もブログとツィッターを放置しておりましたが、また細々と再開致しますので、改めてどうぞよろしくお願い致します。

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2012年5月 6日 (日)

雪とピエロ(1)

照明が落とされ、その暗闇に目が慣れた頃、舞台中央にほんのりと当てられたスポットライト…真っ白な衣装を身につけ、つま先が上を向いて尖った靴を履いた悲しい表情を浮かべたピエロが音もなく現れました。脇腹には長い梯子を抱えています。

ピエロの仕草で、雪が散らつく寒い日であることがわかります。恋しい誰かを思い、それが一方的な思いであることを感じさせるような切ないマイムの後、傍らに置いていた梯子を何もない舞台中央に立てかけました。

長い梯子にスルスルと昇ると、その先端に座り、膝に頬杖をついて物思いにふけるピエロ…観客はその世界観に浸りたいと思いながらも、何の支えもない梯子が倒れはしないかと、ハラハラしながら見守っています。当のピエロは命綱なしにしては高く危険なその空間で、相変わらず切ない表情で愛しい人を思い、溜め息をついています。

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