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2012年8月15日 (水)

無意識が綾なすもの(1)

まだ私が20代前半の頃、いつものようにA.M先生にレッスンして頂いていました。その時はベートーヴェンのソナタを持っていったのですが、弾き終えた私に先生がふと「カントを読んだことはある?」と仰いました。ベートーヴェンはカントから多大な影響を受けていて、曲の中にもそれが随所に感じられると…先生の口調は穏やかでしたが、私には「カントを読み、それを理解することなく、ベートーヴェンを演奏することは出来ない」と仰りたいのだとわかりました。何故今まで読もうと思わなかったのかと自分を恥じながら思い出していたのは、或るピアニストの公開レッスンを聴講に行った時のことでした。

リストの「ダンテを読んで」を弾いていた生徒さんに先生は「貴女はダンテを読んだことがありますか?」「ダンテを読まずにこの曲をどう演奏するつもりですか?」と、仰っていました。通訳の方を介しての言葉ではありましたが、先生の厳しい姿勢が伝わってきて、会場の雰囲気はピンと張りつめたものとなりました。先生が仰っていたことは、尤もなことです。

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