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2013年3月 3日 (日)

感覚を奏する(5)~アルメニアの夜~

4小節目の8分音符はテヌートで、やはり弦のように、一音一音途切れることのないように歌います。そして5~8小節目の左手の進行は、夜の色が刻々と変化していく様子を表現しています。4回繰り返される右手のメロディーによって、夜は明けてゆくのか、更けてゆくのか・・・それは弾き手のイメージに委ねられています。

このように隅々まで意識して練習した上で、これらのことを全て手の内におさめ、余分なものを削ぎ落とした研ぎ澄まされた音楽として奏します。

長女がこの曲を練習していた時、第一音目から全く進まなくなってしまったことがありました。右手のFと左手のDの響きを聴いては「違う」「違う」と何度も弾き直し、どうしても出来ないと悩んでいました。譜読み前からたっぷりと膨らませていたイメージ通りの響きを出すことが、なかなか出来なかったのです。永遠に朝のこない、架空の国の夜の闇のような音・・・聴く人に、そして自分自身に、そう感じられる圧倒的な説得力のようなものが、確かにその響きにはありませんでした。僅か8小節の最小限の音数で作られた小曲が、とてつもない難曲となって長女の前に立ちはだかっていました。

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