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2013年4月11日 (木)

「夜のガスパール」より”水の精”

~アロイジウス・ベルトランによるピアノの為の3つの詩~

1.ONDINE 水の精

「ねぇ!聞いて!私よ、オンディーヌよ。陰鬱な月の光に照らされた貴方の菱形の窓を、水の雫でそっと触って鳴らしているのは。

そうして今、お城の奥方は、波模様の衣装を纏い、露台に出て、星を散りばめた美しい夜と、静かに眠る湖をじっと見つめていらっしゃる。

波の一つ一つが、流れの中を泳ぐオンディーヌなの。流の一つ一つが、私のお城へとうねってゆく小径なの。そうして私のお城は水で出来ている。湖の底に、火と土と空気の三角の中に。

ねぇ、聞いて!私のお父様は、緑のはんの木の枝でじゃぶじゃぶと水を叩くの。姉様達は水の腕(かいな)で、瑞々しい牧草や、睡蓮や、あやめの茂る島々を愛撫したり、ひげを垂らして魚釣りをしているしおれた柳をからかったりするわ」

つぶやくような彼女の歌は、私にねだった。オンディーヌの夫となる為にその指輪を私の指に受けよと。そして、彼女と共にその城に来て、湖の王となるようにと。

そして私が人間の女を愛していると答えたら、彼女は拗ね、悔しがり、しばらく泣いてから、ふと笑い声を立て、にわか雨となって、私の青い窓ガラスをつたって白く流れて消えてしまった。

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